社会医療法人 北九州病院 北九州湯川病院

部門紹介

薬剤科
当院は、高齢者が多く入院している慢性期の病院です。
高齢者は加齢に伴う身体や生理機能の低下から、薬を多く服用していることがあり、ポリファーマシー状態になっている方もいらっしゃいます。
ポリファーマシーとは、数の「ポリ」と調剤を意味する「ファーマシー」を組み合わせた言葉で、多剤服用による副作用発現リスクの増加や服薬過誤、服薬アドヒアランスの低下に繋がる可能性があります。
当院では、急性期病院よりも患者さんと長く関われるため、医師や薬剤師を中心に多職種と協働して、ポリファーマシー対策に積極的に取り組み、患者さん個々の状態に合わせた薬物療法が提供できるよう、日々業務を行っています。

薬剤科トピック

第39回薬剤部会研究発表会を開催しました!!

2025年5月17日、北九州病院グループ薬剤部会研究発表会が開催されました。昨年に引き続き集合研修ではなく、zoomを用いたWEB研修会でした。

発表者の声

2025年5月17日に北九州病院グループ薬剤部研究発表会がZOOM形式で開催され、電子カルテ導入前後の持参薬業務について発表をしました。作業別の時間集計をすることで、昨年との業務内容を比較し現状を把握できました。導入前は薬剤師が持参薬業務に拘束される時間が多く、その後の業務に影響が見られましたが、業務内容の見直しや工夫により現在では、持参薬業務に拘束される時間が減少したと思われます。それは業務や運用面の変更など、 電子カルテ導入による功績が大きかったと実感しています。今後も運用面など含め、業務全体の内容検討をしていきたいと思います。

参加者の声

今回はグループ内の6施設より発表が行われました。新たな取り組みの紹介や活発な討論がありました。北九州八幡東病院はパーキンソン病治療薬であるヴィアレブ配合持続皮下注の使用状況についてまとめており、中止例の主な理由が精神症状の副作用であったという内容がとても興味深かったです。その他、ANCA関連血管炎に対する血漿交換療法やアルツハイマー病の新規薬剤に関する話題もあり、多くの新たな知見を得ることが出来ました。また、持参薬関連の発表が3施設と多く、新しいシステムや業務効率化についての内容でした。それぞれの病院の特徴的な治療や持参薬業務のメリット・デメリットが今後の業務のよい参考となり、大変有意義な会であったと思いました。

業務紹介

内服・外用調剤

電子カルテで、患者さんごとに薬の服用歴を管理し、効果の重複や飲み合わせが悪くないかなども確認して調剤を行っています。入院患者さんの薬は、1回に飲む分を機械でひとまとめにして、飲みやすく管理しやすい状態にしています。また、口から薬を飲むことが難しい患者さんには、症状に合わせた剤形に変更して服用していただいています。

注射薬調剤

注射薬は内服薬より効果が早く出やすい反面、副作用も出やすいことがあります。そのため、使用方法や薬の量などが間違っていないか、より慎重にチェックし、調剤していきます。食事が取れない人は、高カロリーの輸液で栄養を補給します。2種類以上の薬を混ぜる場合は薬剤科で混合しています。

持参薬管理業務

患者さんが持参したお薬の内容の確認を薬剤科で行っています。お薬の種類や服用方法などの情報を正確に把握し、お薬の内容を整理して飲みやすく管理しやすい状態にしています。また、当院のお薬にスムーズに移行できるよう、医師と協同して処方設計しています。

薬剤管理指導

薬剤師が患者さんのベッドサイドにうかがい、現在服用しているお薬の内容や、使用方法などの説明、副作用の有無やお薬の効果の確認などをしています。また、主治医や看護師などと協力しながら、お薬に関する様々な問題に個別に対応しています。

TDM(Therapeutic drug monitoring 治療薬物モニタリング)

種類によっては治療範囲から外れてしまうと効果がなかったり、副作用が出やすくなってしまいます。そこで、血液検査によって血液の中のお薬の量を調べ、その結果をもとに患者さん一人ひとりに合うよう医師と協同してお薬の量を調整しています。

ジェネリック医薬品

患者さんの医療費負担を軽減するために、積極的にジェネリック医薬品を採用しています。

専門・認定薬剤師取得状況(2023年1月末現在、重複者含む)

当院は、専門・認定薬剤師資格取得に積極的に取り組んでいます

日本糖尿病療養指導士 2名
日病薬病院薬学認定薬剤師 2名
日本病院薬剤師会 認定指導薬剤師 1名
福岡県糖尿病療養指導士 2名

チーム医療への参画

医療安全管理委員会・医薬品安全管理室、医療安全ラウンド

多職種で、週に1度、病院で起こったインシデントやアクシデントの事例を検証し、同じような間違いを起こさないよう、また医療事故を未然に防げるよう対策や手順の見直しなどを行っています。
また、月に1度、チームで各部署の医療安全ラウンドも行い、手順の確認や安全な療養環境が整備されているか等、実際の現場確認も行っています。
薬剤師は、医薬品安全管理者として、薬の安全管理のための情報収集や手順書を作成し、手順書に基づいた安全使用がされるように、医薬品に関する研修会を開いています。

院内感染防止対策チーム(ICT:Infection Control Team)

医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師などさまざまな職種が集まり、感染防止対策活動を行っています。耐性菌の検出状況や抗生剤の使用状況を把握しています。また、週1回病院内を巡視し、環境整備や職員・患者さんに対する感染防止策の指導を行い、院内感染防止に取り組んでいます。

栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)

医師、管理栄養士、看護師などと一緒に週1回の回診を行っています。最適な栄養管理ができるよう、事前に患者さんの栄養に関わる薬の情報を把握し、注射薬や内服薬など薬を通して薬剤師の目線で栄養管理に携わっています。